マルチサイクロンは、小型のサイクロンを複数搭載したものです。ボイラーの煙道のガス中に含まれる飛散灰の除去などに多く使用されています。機械式のサイクロンは、強力な旋回気流によりほこりの粒子を分離しますので、小型のものほど集塵能力が高くなります。多く取り付けることにより集塵効率も高くなります。

処理ガス量に応じた設定をすると、圧力損失はほとんど変わらず、高い集塵力が得られます。各サイクロンにガスを送る方法としては、分岐ダクトを使用して均等に送る方法と軸流サイクロンを用いる方法があります。いずれの場合も、効率的な処理能力を得るためには、単位サイクロンごとの圧力分布を均等にすることが重要です。マルチサイクロンは水処理用の遠心分離機にも使用されています。

クーリングタワーや井戸水、海水中の水質改善から、熱交換機やチラー、ヒートポンプなど水関連の用途も広いものです。循環水や砂ろ過装置の前処理など、水環境の改善にも大きな効果をもたらしています。メインフィルターに入る異物の約80%の除去能力があり、節水やメインフィルターのメンテナンスを軽減します。また、フィルターを使用しないため、部品の交換やメンテナンスに伴うポンプの停止なども必要ありません。

従来は、クーリングタワーやポンプのストレーナーが閉鎖するなどメンテナンスの回数や時間が課題となっていました。マルチサイクロンを採用することにより、水質が改善するとともに余分なフロー水の削減、排水処理費用の軽減にも役立っています。