熱回収の定番であるヒートポンプ

ヒートポンプは、低い温度の熱源から熱回収を行い、高い温度の熱源へ熱エネルギーを送り込む装置のことです。

ポンプという名が表すとおり、熱回収、いわば熱を汲み上げるための役割を果たします。近年では、大規模ビルの冷暖房や給湯だけでなく一般住宅でも採用が進んでおり、熱回収が行われる熱源としては、空気中の熱、工場設備から排出される排熱、河川水や下水排水、地中熱といった、ありとあらゆるこれまで利用されていなかった熱エネルギーが活用されています。

単にエネルギーを節約する省エネの観点だけでなく、未利用のエネルギー利用という観点の両面からメリットがあることからヒートポンプは注目されているのです。現在、実用的にも使用されているヒートポンプの種類には、大きく分けて圧縮型と吸収型があります。圧縮型は、熱の移動を仲介する冷媒を圧縮し凝縮熱を生じさせ、凝縮熱を水や空気に移すことによって暖房や給湯に利用しています。

逆に冷媒が膨張すると、冷媒が気化作用により周囲から熱を吸収するため、冷房に利用することができます。吸収型は、水の気化熱を利用しており、冷媒に水を、吸収剤として臭化リチウムを使用します。熱源から熱を奪い、冷媒である水を水蒸気に気化させる蒸発器、水蒸気を吸収剤に吸収させる吸収器、水蒸気が吸収された吸収剤を加熱し再度水分を蒸発し、吸収剤を濃縮する再生器、蒸発した水分を水に戻す凝縮器で処理のサイクルが繰り返されます。吸収器、凝縮器で発生する熱を利用する点に特徴があります。